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佐倉義民伝 車人形の見どころ! 宗吾と甚兵衛が、二人抱きあうシーンは3回出てくるが、どれも違う心情。 [解説]

一見、同じようなしぐさをすると、同じ心情のように思われがちですが、劇で繰り返し同じことをする場合は、それぞれ意味あいが違います。一度目は、残念だ~の後の「ふたりたがいに手をとりあい、無念の涙はらはらはら」。この時は、宗吾は、上から。甚兵衛は下から。ここで、名主と、一般人(渡し守り)の地位の違いを意識している。二度目は、宗吾が「一揆を励ます種となろう」と言うと、その言葉に励まされた甚兵衛が「百姓は奮い立ち、一揆は必ず勝ちまする!」と応え、「よく言ってくれたと・・「たがいにひしと抱きあい」。この二度目の場面では、ほぼ同じ高さで抱きあう・・対等な関係。三度目は、錠がかかっている渡しの舟の鎖を甚兵衛が切りおとし、百姓の味方となって命まで捨てようとする宗吾を前に、自分も命の危険を顧みず舟を出すと決意した甚兵衛に「かたじけない」・・と甚兵衛にすがりつき「たがいにひしと手をとりあい、しばし涙にくれいたる」・・この三度目の場面では、名主の宗吾は下から。甚兵衛は上から抱きあう。立場が逆転するのです。立場に関係なく信頼し合える関係を表現しています。話をしているうちに、覚悟を決めて、決意し、一揆のために命をかける二人の男達。今でこそ、男同士ハグするのも珍しくない時代になったが、これは、1965年に書かれた台本です。段々と心の距離が近くなったことを、体の距離で三段階に表現しています。


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